今回はデジタルイラストが完成するまでの工程紹介と制作時に気を付けている点をお伝えしていきます
!注意!
イラスト自体に流血・グロ表現が含まれます。
苦手な方はこの記事の閲覧を控えて下さい。
………ハイッ!そこの狸みたいな猫の狸のまめだ君ッ!
絵を描き始める前に行うことは何??
先生、自分は狸似の猫です
最終的に狸呼ばわりするのヤメテクダサイ
何を描くのか決めないと何も始まりません
じゃぁ次は?
問題なのは絵を描いてきた経験が少ないにも関わらず、何も参考にせずいきなり描き始めようとしていることです
君、美人猫ってどんな種類の猫?高級魚って?どんな魚のこと?
描く前に参考資料を集めていれば合格と言ったよ
落書きとは違い、1枚のイラストを描く場合ほとんどの人が誰かに(第三者)見てもらう目的で描いていると思います。(SNS投稿やコンテスト応募用、創作同人など)
ならば、第三者から見て『描かれているものが何であるか』が理解できなければ無意味というもの。一目みて何が描いてあるかが分かることが絵のクオリティーとして最低限必要なものです。
そもそも、絵というのは物事や感情を伝える手段の一つです。
小説の表紙絵や挿絵を例にすると分かりやすいですが、小説など文章だけではイメージしづらい世界観やキャラの容姿を視覚的により理解しやすいように伝える手段です。
私の意見ではありますが、絵というものは物事や感情を伝える手段であり、それらの目的が無いものはただの落書きだと思っています。
どれだけ上手く描いた絵だったとしても、第三者が何も感じない、感じ取れない、理解ができない、伝わらない絵は落書きと大差ないもの。第三者からしてみれば無価値なものだと自分は考えています。
何か小難しく解説してしまいましたが
目的(第三者に伝えたいこと)が無い絵=落書き
と変わらないということです。
仕事で絵を描いている人は別ですが、趣味で描いている場合はそんな大それた目的は必要ないと思います。
・何が描かれているか
・どんな雰囲気か
・どんな感情が伝わるか
どんな人物、性別、年齢、ポージング、世界観、可愛い、カッコイイ、キレイ、悲しい、不気味、ミステリアス…
などその他単純なことでも良いので、自分が好きな物や雰囲気をしっかり第三者に伝わるように描くことが大事です。
長々と話してしまいましたが、結局のところ
◆第三者に伝わる絵とは
⇒説得力のある絵
⇒一目見て理解出来る絵
(正しい形や色、ライティングなど)
⇒資料探し
⇒資料を観察し描き起こす
という流れに行きつきます。
ただ見たものをそのまま描き起こすだけではデッサンになってしまうので、そこへ別のデザインを混ぜたり別アングルで描いてみたりして、自分好みの形や雰囲気に変化させていきます。それがデザインとなっていきます。
この世には大抵の絵柄やデザインというものが出尽くしてしまっています。新たに、世にまだ存在しないものを生み出すなど…まぁ不可能に近いでしょう。
どんなプロも先人の絵柄やデザインを自分好みに組み合わせてそれを自分のものにしています。
絵柄もデザインもイラストも、全ては組み合わせです。
ただ、人間全く同じ存在がいないように、それぞれ好みがあります。自分の好むものを組み合わせていけば自然と自分らしさが表現されると思います。
結果的に描かれている内容が理解されず、興味を持たれることも少なく第三者からしてみれば無価値な作品になっちゃってたかも…てことか
逆にしっかりシャムネコと分かる絵を描いていれば、シャムネコ好きの人からは好まれる絵になるかもしれないと…
あくまでメインはシャムネコで、そのシャムネコを可愛く萌え萌えに見せるためにどうマグロを齧らせるか…理想のポージングを考えるとか
紹介するのはデジタルイラストの作画工程です
これも人それぞれやり方が異なると思いますが、とりあえず自分の場合を紹介しますので、参考にできる部分は試してみて下さい
早速今回のイラストで自分が絵に与えた目的(第三者に伝えたいこと)ですが…
メイン⇒男性キャラ・不気味
サブ⇒可愛くもありカッコよくもある・危機感
完全に自分の好み満載な目的ですし、勿論全ての第三者に受け入れられるわけではありません。基本的に自分の好みを優先させた目的のイラストとは、同じ好みを持っている者のみに受け入れてもらえます。
しかし、受け入れられる・受け入られない関係なく目的が伝わることが重要。
自分の場合だと、キラキラした可愛らしい萌え絵(ギャルゲ絵)やキラキラほわほわした少女漫画系イラストは苦手だしほとんど興味もありませんが、自分がそのように感じたということはその作者がイラストに与えた目的は達成されているのだと思います。
きっと自分とは異なる好みや趣味をお持ちの方には大変好まれ受け入れられる絵なのだと思います。
落書きではなく、イラスト作品として描きたいのならば、こうした何かしら目的を持った絵作りをしていくことをおススメします。
【使用ツール:CLIPSTUDIOPAINT】
◆男性キャラ
⇒関節をしっかり描き込んだ男性らしい大き目な手
◆不気味
⇒手から生えているリアルな血を流す口・隠れて見えない本当の口元
◆可愛くもありカッコよくもある
⇒大き目な吊り上がった目、少し幼げに感じる元気にハネた髪の毛、黒髪でフワフワ感を無くしダーク感と締まった印象に、少しゴツめのピアス
◆危機感
⇒赤色
勿論ですが、同じ目的を設定したとしても人それぞれ全く違うラフが出来上がると思います。今回自分はキャラを目立たせたかったのでキャラをアップに描き、背景も単色で済ませています。
しかし、もっと不気味な世界観を強く感じてほしいッ!という目的を持っている人ならば、キャラを引き気味で描いて背景も廃屋などにし、もっとおどろおどろしく描き込む人もいるでしょう。
どの部分を自分は一番見てほしいか、感じてほしいかによって絵の構図も変わってきますので、絵のメインはブレないようハッキリさせておくと描きやすいかと思います。
この絵は最終的に『このキャラちょっと不気味な感じがカッコ可愛いい!!良きッ!』
と思ってもらいたいなぁと考えて描いています。
ちなみに、自分の場合はラフ画の段階で色まで決めてしまいます。
色もパーツごとの配色を決めるだけでなく、光源を設定し大まかな明暗まで簡単に着彩していきます。(この時の色は1枚のレイヤーにガシガシ塗り重ねています)
この方が完成イメージがしやすいですし、後々着彩作業に悩まずに済みます。
それともラフを描いてイメージが固まってから資料探しするの?
メインの部分、例えば人物のポーズや今回なら手から生えてる口はラフ前に資料を用意しておくけど、その他はラフ画を描いてからまたは作業中に資料探しをしたね
でも描き中にデザインを変えたくなる時もあるから、最初から完璧に資料を集めつくすことは少ないかな
でもメインの部分やポーズを変えると全く別の作品になるから、メインにしたいものの資料やポーズ資料はラフ前に用意しておきます
特にラフを描いてしまってからポーズを変更するというのはすごく作業量が増えるから、ポーズは一番に決めるね
あと、ポーズの資料集めは?
でもすぐに自力でポーズが思いつくわけではないから、雑誌やネットで気に入ったポーズ写真を見つけてはストックしておいて、それらを参考に自分なりにポーズをとって好みのアングルで自撮りしたものを資料として使ってるよ
今回のは口元を隠すポーズを何枚か自分なりに思いつくものを撮って、気に入ったものを採用した感じ
ラフ画後、更に形・線を明確にする為下書きをする場合もありますが、今回は比較的描きなれているもの(人物メインイラスト)だったので先程の状態から、用意した資料を確認しつつ、ラフ画の不透明度を下げて別レイヤーに線画作業をしていきます。
【ペンツール:濃い鉛筆(クリスタのデフォルト)】
一番分かりやすいのが手の口部分ですね。人の指を咥えさせました。
あとは目元を笑わせたことと、ピアスの形です。
人の指を咥えていれば口から血が滴っている理由付けになるし、このキャラは人を食べる化け物…?とより一層不気味感や気持ち悪さ、危機感を絵に与えられると思って付け加えたよ。
それプラス、口の表情と連動させて目も笑わせたのと、ピアスはデザインが普通過ぎたから、丸ばかりでなく、尖ってるデザインの三角形を足したよ
自分は線画作業時に色々変更してしまいましたが、描きなれない内は失敗しやすいかもしれないので、もし一部デザインを描き変えたいと思った時は、下書き作業の時に描き変えることをおススメします。
自分は線画を描く時に気を付けていることが3つあります。
①必要最低限の線を描く
②線幅の強弱を付ける
③丁寧に線を仕上げる
①の必要最低限とは、主に髪や服の部分を指します。
特に服ならシワの線を描いた方が良くないですか?
①必要最低限の線を描く
後ほど塗りの過程を紹介しますが、そもそも自分の塗り方的に線は輪郭以外あまり必要ありません。自分が普段塗っている方法は所謂『厚塗り』というものです。正しくは厚塗り風…ですが。
本来の厚塗りは線画すら描かないものですが、自分の場合主線を描いた状態で塗り部分のみ厚塗りで仕上げています。
髪や服のシワ、その他立体感は明暗差を描き込んで凹凸を表現していくので、線があると線が主張してしまい、むしろ邪魔になってしまいます。なので、塗り中に邪魔だと思った線は迷いなく消しゴムで削除していきます。
ただ、これはあくまでカラーイラストだからです。モノクロ絵(漫画など)は線を描き込んでしっかり凹凸表現を出していきます。
②線幅の強弱を付ける
均一な線では面白みに欠けるので、輪郭線や関節部分、布や髪が重なっている箇所など部分的に太くしています。
③丁寧に線を仕上げる
これは作風にも関わるので好みの問題でもありますが、個人的に初心者の場合は線を丁寧に仕上げることをおススメします。丁寧にとは、線と線がくっついている、何重にも重なった線が少ない…など塗り絵に使えそうな線画のことです。
上手い絵の中には、線がラフに描かれていて落書きのような線タッチの作品も多くあります。それはそれで良い雰囲気のイラストに仕上がっていますが…むしろあれは熟練の技です。
言ってしまえば、塗り方がスゴく上手いから線がラフでも良い絵に見えるんです。
線画がラフで輪郭に明確さが足りずとも、色選びや明暗差を的確に描き込んでいるから立体感が出て上手い作品に見えるのです。これはやはり描きなれた上級者や、たまに現れる配色・塗りの天才というやつです。
悲しいことに、どれだけ絵が上手で線画もキレイな作品だとしても、色塗りが下手だと出来上がった作品は残念になります。モノクロ作品でない限り、最終的な絵の上手さを左右するのは配色と色の塗り方です。
ここがデジタル初心者が躓く部分でもあると思ってます。アナログで絵を描いている時にシャーペンなどでモノクロ絵をたくさん描いていたけれど、デジタルデビューして色も付けてみると何故か下手に見える…失敗する…という経験ありませんか?
それは必ずしも線が上手く描けないだけが原因ではないと思います。色にもある程度ルールというか、法則があります。何でもかんでも好きな色を塗れば良いという訳ではありません。カラーイラストを描くならば色選びは大変重要なので出来るだけ早い段階から色の勉強をしたり、モノクロだけではなく色塗りまでして作品作りをするように心掛けましょう。
皆さんキャラクター絵をモノクロで描けるようになるまで、きっと時間をかけて練習したと思います。色塗りも同じくらい習得に時間がかかるでしょうし、もしかしたらそれ以上難しいかもしれません。早め早めに色塗りに慣れていきましょう。
逆にアナログ絵の時から水彩やコピックなど常に色塗りもこなしていた人は、デジタルでもツールの使い方さえ慣れてしまえば、自然とイラストが描けるかもしれません。
【塗りツール:不透明水彩・エアブラシ(柔らか)】
それでは塗りに入ります。
まず、ラフ画時に塗った色をそのまま使います。
1枚のレイヤー状態なので、肌・目・髪・服・口とパーツごとに投げなわツールで部位を選択→コピー&ペーストでレイヤーを複製していきます。
勿論ラフでの塗りだったので線画からはみ出したり足りない部分が多くありますので周辺の色をスポイトで取りながらキレイに線画内に色を収めていきます。
その後はひたすらゴリゴリ不透明水彩で塗り重ねます。
自分は基本的に分けたパーツごとのレイヤー1枚ずつにそのまま色を塗り重ねています。その方が色が混ざり合って自然に塗ることができます。
ザックリ薄い色味で影の位置を決定し、一番重なり合って暗い部分や明暗の境目を少し濃いめの色で塗ったりしています。
基本的に乗算レイヤーは使いません。使うとしても最後の効果として部分的に使うくらいです。乗算レイヤーで影を塗る人も多いですが、乗算だと自分の理想の色がピンポイントで出てこなかったり、同じ色を出すため使用した色をちゃんとメモ・記憶しておかないといけなかったり…簡単に影が描けるようで結構面倒だと自分は思っています。
何より色の勉強にあまりなっていない気がします。自分は仕上げの効果以外は普通レイヤーに自分で選んだ色味を塗り重ねていくようにしています。
更に目、髪の影、服のロゴ、各ハイライトを加筆
更に更に今回のメイン!口元の血を加筆し、オーバーレイ機能などで一部赤味ある明るさを追加して完成です。
血の部分は出来るだけリアルに描くように努めました。ここを中途半端な描写にしてしまうと不気味さが半減してしまいますし、魅力を感じなくなってしまうので…
ゾンビ映画やゾンビの特殊メイクなどの口元を参考に描き込みました。
ただ、まだまだ血の描写が上手く出来て無いなぁと反省しました。もっとよく観察してリアルな描写の練習をしていきます。
最後に、今回全体的に赤味のある色味で合わせてあります。
背景色を朱色に近い赤にしたので、背景色を環境色として髪や服など各部位に反射光として低彩度の赤をエアブラシで入れてあります。またハイライトも同じく低彩度の赤を使いました。
【!完成!】
一番に目へ視線が行くよう、赤から彩度の高い黄色みの強いオレンジへグラデーションし、目立つようにしてあります。
その後、描き込み量の多い血濡れの口元⇒流れ落ちる血⇒あ、なんかトレーナーにロゴ描いてあるし。みたいな流れでイラスト見て頂けたらなぁと…
縦スクロールで見てね(笑
今回は自己流のデジタル作画の大まかな流れのみ解説させて頂きました。
また時間が作れれば、各部位ごとの(肌や髪・服など)塗り方を自分だったらどう塗っているか、個別で記事にできたらと考えています。
最後まで読んで頂きありがとうございました!