手……皆様は手を描くときどう思いますか?好き?嫌い?好きだけど苦手?
得意不得意が分かれる部位だと思います。
どうやら苦手な人が多いようで…Youtubeコメントでも何度も描き方を教えて欲しいというリクエストがあったので今回は手の描き方について解説をしていきます。
まず、手というものが何者なのか。手の中身、構造はどうなっているのか、考えたことはありますか?
ぶっちゃけて言ってしまうと手だけではなく、人体を描く上で構造を知るというのはとても大切ですし、ちゃんと構造に沿って描けば不自然な絵にはなりにくいと思います。
まずは簡単に手の骨について画像で説明します。
上記の絵を見て絵を描くにあたり、どこを気をつけて描くべきか、気づいた方はみえますか?
正直この骨の絵を見て頭が痛くなりますよね。
「こんなの覚えられるわけない!」「難しい!」「面倒くさい!」
などなど、色々とご感想があるとは思います。
勿論、全ての骨の位置や名称を覚える必要はないです。(覚えるに越したことは無いですが…)
ここでは必要最低限知っておいた方が手が描きやすくなるポイントだけお伝えします。
まずは関節の数です。絵を見て分かると思いますが、親指だけ関節が2ヶ所、あとの人差し指~小指までの4本は関節が3ヶ所あります。
次は関節の位置です。
人差し指~小指までの4本は関節の位置がアーチ状になっています。
ここをしっかり絵でも表さないとバランスの悪い手になってしまうので気をつけましょう。
そして手首に移りますが、小指側の尺骨という骨の部分が少し盛り上がっています。
この部分をイラストに反映させるとカッコいい手になりますが、角度によって(主に小指側から見た場合)凹凸が見えない場合もあるので自分の手をしっかり見て確認しつつ描くようにしましょう。
手の比率についてです。
人によって個人差がありますが、だいたい手の平と指の長さは全長の1/2だそうです。
(……自分の手は平の方が大きくてズングリムックリですがね…)
手の大きさはこれも個人差がありますが、だいたい顎(あご)~額(ひたい)くらいの大きさです。
遠近感のある手を描く場合はこの標準サイズから大きくしたり小さくしたりすれば良いかと。
手を握った時の関節についてですが、基本的に人体は関節のある部分が曲がります。
わりと関節からでは無く指の付け根から曲がっているイラストを見るのですが、構造上まず不可能なので気をつけましょう。
関節には可動域と言って、骨の構造上動かせる範囲が決まっています。
それ以上の角度を動かそうとすると別の関節も連動して動きます。
手首は小指側には大きく曲がりますが、親指側にはあまり曲がりません。
小指側も大きく曲がると言っても約55°くらいです。
親指側へは25°程度。
このように、関節の動く範囲を知っていれば上腕や前腕の位置も想像しやすくなります。
オススメの描き方は、まず手の向きや位置を決めてから、それに合わせて腕を生やしていく方法です。
それではアタリを取って描いていきましょう!
アタリの描き方は人それぞれ…ですが、自分はこのように描いています。
① 手の平を台形に描きます。
② ①に親指を描きたい側に三角形を描きます。
③ 人差し指~小指までの4本を台形と同じ長さで上に付け足します。
さて、アタリが完成したので上から形を整えつつ手を描いていきましょう。
ここからは正直好きに描いて良い気がしますが…
自分の描く時の癖も交えて解説します。
自分の場合は人差し指~小指の4本から描きます。
最初に中指を第一関節まで描き、人差し指→薬指→小指と付け足し、最後に親指を同じく第一関節まで描きます。
何故中指から描くのかと言いますと、指を閉じても開いても中指はほとんどその位置から動かないからです。バランスを取りやすくする為に中指から描いています。
第一関節まで描いたら親指はもう1関節、その他の指はあと2関節付け足しましょう。
この時一気に描いても良いですし、さらに関節ごとに分けて描いても良いと思います。
最後に爪や筋を描き足すとリアル感が出ます。
自分は絵柄的にリアルな手が合うので描いていますが、デフォルメ感の強い絵や可愛らしい絵柄では描く必要は無いと思います。
何より自分の絵柄に合わせることが大切です。
【応用】
手の構造を知っていればパー以外の手も描きやすくなります。
手はただでさえ難しい部位なので難しく考えず、まずは簡略化し全体のバランスを意識して描きましょう。
細かい部分は最後にチョチョッと描き足せばいい!
↑こんな感じで簡単にアタリを取りましょう。
この形で無くとも自分の描きやすいように簡略化していいです。
指を生やしていきましょう。
パーを描いたとき同様一番に考えて欲しいのは関節の曲線です。
絶対に水平にならないように気をつけましょう。
基本的に指は曲げると手の中心へと指先が向かいます。なのでグーもチョキも指の向かう方向は内側です。
また、チョキを描くときは見えない薬指の指先も描いて位置を確認してみましょう。
手は年齢や性別で見た目が変わります。
自分が現在描いているキャラの年齢や性別を考慮して描くようにしましょう。
「手の練習ってどうやればいいの?」
と、よく聞かれますし、昔自分も思っていました。
今までの経験上での話になりますが、まずは手の構造を知って下さい!
これを知っている知っていないでは描きやすさが全然違います。
手の構造を知った上で「じゃあ、それから?」となりますが、ぶっちゃけましょう。
ひたすら数を描きましょう。
描いて描いて描きまくって描き慣れて下さい(笑´∀`)
絵というのは描けば描くほど上手くなります。頑張りましょう…
手を描くときに参考にすべきものは自分のすぐ目の前にあります!!
そう!自分の手!
何よりの参考資料です。無料です、目の前です、すぐ実践しましょう!
よく聞く言葉が
「自分の手は理想じゃ無い」
「ズングリムックリで参考にならない」
「自分の手は格好良くないから模写したくない」
などなど…自分の手が気に入らないという理由で自分の手を見て描かないという意見を聞きますが、それは大きな間違えです。
そもそも理想の手を描きたいというのに、模写では練習になりません。デッサンでは無く、あくまで漫画的なイラストを描くのですから、自分の手を忠実に描く必要は無いです。
自分の手を見て描くとき参考にすべき点は指の太さや長さではなく、関節の位置関係です!
実際自分の手を見て、関節の位置を把握し指の見た目は自分の理想に近づけて描きましょう。
ただ、自分の手を自分の目で見れる角度には限界があります。
そういう時に、
・自分の手を写真で取ってみたり
・画像検索したり
・参考本を買って見る(手の描き方本など)
といった方法をとるようにしましょう。
せっかく自分の思い通りに動く資料が手元にあるので出来るだけ自分の手を参考資料にして練習して下さい。
とっても大変ですが、描き慣れれば絶対に手を描くのが楽しくなります。
是非頑張って練習してみて下さい!
・モーションを描くための美術解剖学
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